Wild life

先日地元へ帰った時の話です。犬の散歩中Aさん宅を通りかかると、「今日クマ獲った」と言うので見せて頂きました。リンゴ畑を荒らし、自治体が設置した箱罠にかかり駆除に至ったとの事でした。既に解体され、頭部だけが庭先に置かれていました。
数時間前まで生きていたそのヒグマは左瞼をうっすら開けていて、褐色の瞳をしていました。

「体重は240キロ。犬歯のすり減り具合で年齢推定するんだけど6歳って、俺は届けたんだけどね」
Aさんがヒグマの上唇をめくると、私の小指程もある大きな犬歯が剥き出しになりました。逃れようとして金属製の箱罠を噛み続けたのでしょうか、
歯肉に出血の跡が見られました。本来なら冬眠に備え、山に実るドングリや山葡萄、コクワ等を食べている時期です。
山に餌が少なくて果樹園に出てきてしまったのか。頭頂部に触れてみると短い体毛が密生し、硬くゴワゴワしていました。豚毛の歯ブラシってあるけど、ヒグマの頭毛の歯ブラシは歯茎が血まみれになるやもしれません。

ヒグマの顔に傷は見当りませんでした。Aさんは心臓を撃ち抜いたんだろうか?
その時、「ア!触んない方がいいよ?」と慌てたようにAさんが言ったのです。脳神経内科の病院に勤める医療人としてあるまじき事ですが、ヒグマはまだ生きていて、目を開けて噛みついてくるんじゃないか⁉️ 一瞬本気で仰天しました。実際は「マダニ付いてるかも。気をつけてね」だったのですが。Aさんに、庭木の梢にクマの頭骨を掛けてありますね?と尋ねたら、「ヨーロッパの熊撃ちも、アイヌの人がたもそうするんだ。命を戴いたクマの魂が天国へ昇って行けるように。俺は地獄行きだけどな。」Aさんは自分を熊撃ちと呼び、1度もハンターという言葉を使いませんでした。半世紀以上熊撃ちをしてきたAさんの矜持を感じました。写真、何枚か撮らせて頂いたのですが、熊撃ちのAさんと、旅立ったヒグマの魂への敬意を表し、掲載は控えたいと思います。

代わりに御覧頂く画像、私が作ったエビフライ⁉️ではございません。
北海道に住むある動物が、松ぼっくりを両手に持ってモグモグ食べた結果こうなりました。
松ぼっくりの実る頃、松の木の下にエビフライを見つけたら、それはエゾリスの仕業です。

連携室Y

看護部

前の記事

紅葉
地域医療支援部

次の記事

雨の日の一枚